
東京は荻窪にある菊池脳神経外科は2009年にオープンした。地域には脳神経外科がなく、診療所からだけでなく、 病院からも紹介が来る診療所である。
30坪程度の敷地面積にもかかわらず、CT、レントゲン、CR、 エコー、
骨度密度計など、さまざまな医療機器を備えている。
そのため、受付は5人でいっぱいになるほど狭い。また脳神経外科 という性格上、初診時の診察時間は検査等を含め平均20分と長い。そのような条件を克服するため、菊池院長は当初より「診療予約システム」 の導入を決めていたという。
現在、予約・確認・変更は「携帯電話」、「パソコン」、「自動音声対応電話」の3つでおこなっている。
診療予約システムの選定のポイントは、
(1)フレキシビリティ
(2)価格
(3)操作性
(4)サポート
(5)ASP型、
の5点。
Intention社製の『ヨヤクル』はこの5つのポイントの評価が高かったために採用したとのこと。
特にフレキシビリティについては、変更を依頼すると、すぐに対応してくれるスピードが決め手になった。
高い開発能力と、すみずみまで行き届いたサポート力が大きな魅力といえる。
また、ASP型を採用したのは、診療スペースの狭さからである。
狭いながらも診察室をできるだけ広く使うためには、サーバーを院内に置かないASP型が最適との考えからだ。

待合室は5人が座れば一杯になるほど狭く、混雑時には、ビルのエントランスにあるソファを利用するときもある。患者は脳神経外科という性格上、頭痛やめまいを訴える方が多い。

受付は常時2人体制で、紙の問診票を患者様に書いていただき、その内容を電子カルテに入力している。問診票以外はペーパーレスである。
受付にはレセコン一体型の電子カルテ(写真右)とIntentionの診療予約システム『ヨヤクル』(写真中央)がある。
予約状況を確認しながら、患者様が来院すると、電子カルテに患者番号を打ち込み、受付のエントリーをおこなう。 エントリー後は、『ヨヤクル』の来院操作をすることにより、診察室へ来院情報を伝えている。
事務業務は、受付と会計を2台に分けているが、『ヨヤクル』のパソコンを中央に配置し、情報の中継システムとして活用している。
診察室は1部屋で、電子カルテ(写真右下画面左)、予約システム(写真左上画面左)『ヨヤクル』 、画像ファイリングシステム(写真右下画面右)が机上に配置されている。診察はペーパーレスで行うため、机上には紙類が一切ない。ボールペンすらほぼ必要ないとのこと。

30坪という敷地面積でCTを導入している医療機関は滅多にないが、脳神経外科ということで、CTを中心とした医院設計は院長の当初からの構想である。予約システム『ヨヤクル』を利用することで、検査が必要な患者の把握と、事前準備のタイミングがわかるようになり、業務の効率化に繋がった。

CTの隣に配置されたレントゲン撮影システム。極小スペースにCTとレントゲンを一緒に設置しているため、予約来院状況を見ながら事前に、来院患者の情報を把握し、機器ごとの振り分けをおこなっている。

レントゲンはCRと連動しているため、暗室や給排水などはない。CRの導入も狭いスペースの有効活用に一役を買っている。CRについても、コンソール(画像制御装置(写真左上))と画像読み取り機(写真右下)が一体となった製品を選ぶことにより、更なるスペースの有効活用をおこなっている。

CTおよびCRのデータは、画像ファイリングシステムで管理している。すべてのデータはDICOM形式での管理である。

検査室と待合室に配置されたカメラ。監視目的ではなく、検査室の状況や待合室の混雑状況などを把握するために設置している。常に患者様の状況をリアルタイムに把握するための工夫である。
診察中も、『ヨヤクル』を活用した、予約状況、来院患者状況の確認と共に、カメラでリアルタイムに来院患者様の確認をしている。待合室の状況を常に確認し、患者様を待たせない、細やかな配慮をしている。

検査終了後は診察室で、患者にCTの画像(画面右)などを使用して丁寧に説明を行っている。画像をデジタル化しているため、リアルタイムな説明ができる。 電子カルテのモニター(画面左)は、患者様に必要な情報のみ見えるよう工夫がされている。

診察中に『ヨヤクル』で、予約状況の更新確認、予約なしで来院された患者様の状況を確認できる。また、ちょっとした空き時間に、予約状況や来院状況を見ながら、検査装置(CT、エコー)の準備や、午後の患者様の準備をするなど、診療をスムーズに進める工夫がおこなわれている。

診察終了後、会計処理と一緒に、『ヨヤクル』(画像中央)を使って次回の予約をとっている。予約票を印刷し、患者様へ渡すことで、予約日忘れを防いでいる。予約を優先としたシステムを採用しているため、一度来院したことのある患者様は、次回以降ほとんど予約をしてから来院するようになるとのこと。
予約の内容は、インターネットにつながればどこでも確認できる。さらに、自宅から明日の予約状況(混み具合)を確認することもできる。


予約方法は「電話予約」「携帯電話予約」「Web予約」の3種類。予約制を取り入れることで、患者様を待たせず、しかもゆったりと診療に打ち込めるスタイルが確立できている。
予約確認は「携帯電話予約」「Web予約」の機能を使用することで、患者様自身がおこなうことができる。
脳神経外科という特徴から高齢の患者も多く、そういった患者からの予約変更依頼は、直接電話でも受け付けている。

こちらは、「Web予約」の機能画面である。「携帯予約」同様、インターネットにつながればどこでも確認が可能である。統計機能を利用すれば、どの予約手段が多く利用されているかがひと目でわかるが、若い年齢層の患者様はweb予約を多く利用しているようだ。
診療予約システム「ヨヤクル」(株式会社Intention)を導入した最大の効果は、「待ち時間は少なく、診察時間は長く」といった患者様にとって理想的な診療スタイルを確立できたことにある。
これまで、診療予約システムは小児科など比較的患者が多いクリニックで、混雑緩和のために導入されるケースがほとんどだ。しかし、今回の医院の利用方法を見ると、診療予約システムで患者の来院状況を常に把握することが診療準備を効率化し、医師は余裕を持って患者の診察にあたれるという状況をつくり出している。
「予約システムのお陰で診療に余裕ができ、心の平穏につながっています」 「わたしの診療スタイルを確立するためには必要不可欠なシステム」 「カスタマイズの対応力が高く、すぐに実施してくれるので信頼しています」 と院長は『ヨヤクル』を評価する。
「理想的な診療スタイルを実現するためになくてならないシステム」これこそが、予約システムを導入した最大のメリットといえる。予約システムの活用について、新たな視点を体験した事例であった。
(執筆・取材:メディプラザ統括マネージャー 大西大輔)
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